FRBの経済に対する認識はどのようなものか?FRB副議長へのインタビューから見えてくるもの

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FRB(米連邦準備制度理事会)のクラリダ副議長がブルームバーグのインタービューで現状の景気に対する認識および金利の見通しを語りました。

クラリダFRB副議長、新型コロナウイルスは見通しへの不確定要素
米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は、中国での新型コロナウイルス拡散が米経済に著しい影響を及ぼすかどうか判断するには時期尚早だと指摘。米経済は引き続き「好位置」にあるとの見解を示した。

記事によると、

米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は、中国での新型コロナウイルス拡散が米経済に著しい影響を及ぼすかどうか判断するには時期尚早だと指摘。米経済は引き続き「好位置」にあるとの見解を示した。

クラリダ副議長は31日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「これは不確定要素だ」と発言。「中国や世界の成長見通しがどう変わるのか、また米国にどう影響するのか注目している」と述べた。

米経済は一時的な足踏み状態は吸収できるだろうと、同氏は指摘。「これが例えば1、2四半期にわたる成長減速につながっても、全体像を変えるものでは恐らくない。ただし難しい状況だという意見には同感だ。状況をしっかり把握し続ける意向だ」と続けた。

また、ロイターの方の記事では

米経済については「良好な位置に付けている」と指摘。米経済見通しに大幅な変化がない限りは金利変更はないとの見解を示した。FRBも同様の見解を繰り返し表明している。

とあります。

つまり、現時点でコロナウイルスの影響を判断するのは時期尚早、事前に予測して利下げすることはせず、影響が出たら考えるということです。ちなみに利下げしてから実体経済に影響が出るまでには少なくとも半年はかかると言われています。

また、米国経済については好位置にあるとし、1,2四半期程度の減速であれば全体像を変えるものではない、そして経済見通しに大きな変化がない限りは金利変更はないとのことです。

要約すれば現時点で利下げは全く考えていませんということでしょう。なお市場はコロナを受けて6月に1回、12月に1回の計2回の利下げを期待しています。なおコロナが出る前でも12月までには1回利下げしてくれると思っていたのです。

ところがFRBはコロナがあっても利下げするとは言わず、コロナが無ければ利下げはしないで当たり前といったトーンです。

そして大方の人は理解していませんが1月のFOMCで行わた超過準預金への付利と翌日物リバースレポの5bps引き上げは5bpsの利上げと同じです。つまり引き締めています。参照:2020年1月FOMC結果、FRBは5bpsの利上げ

ここから読み取れるメッセージは何か?それはシンプルに2つ。

FRBは米国経済はしっかりしていると考えている、そして、資産価格は高いので助けなくて良い、ということではないでしょうか。

2019年はS&P500がおよそ35%も上昇しましたが株価を「株価=翌12か月予想EPS×Forward PER」と考えると株価上昇35%の内訳は予想EPSの上昇が2%、Forward PERの上昇が32%です。

つまりほとんどPERの上昇だけで上げてきたので足元の米国株式のバリュエーションはとんでもなく高くなったのです。上グラフの通り、法人減税がないのに法人減税前と同じForward PERになっています。

FRBがこの資産価格を意識していないということはありえないでしょう。バブルは一度生まれると潰さずに解決する方法はなく厄介なため、大きくなる前に冷やした方が長期的に良いのです。

私は以前からこの市場の期待とFRBのスタンスとのギャップに懸念してましたが、ここまでギャップが開くと市場の期待が裏切られる公算が大きくなっていると思います。

私は基本売りは行わず、買い増しのタイミングだけを考える長期積み立て投資ですが、足元だと皆様の知ってそうな銘柄ではボーイングくらいにしか食指が動きません。しかし年後半にかけてどこかで市場がFRBに対して絶望するような場面があればそこは買い場になるのではないかと考えています。

なおFBRが実施しているバランスシート拡大についても言及しておくと、パウエル議長の言葉をそのまま受け取るのであれば、これはバランスシート拡大が目的ではなく、銀行の短期流動性の確保が目的です。

背景には2019年9月のレポレートの異常な急騰があります。実はこの原因はレポレートの調整を担うニューヨーク連銀の事務ミスだという観測が出ています。ニューヨーク連銀はFRBの方針に従い日々金融調節を行っていますが、本来やるはずの資金供給を翌日に後回ししたか何かで市場があまりの供給の少なさに驚いて金利が急騰したと見られています。

出所: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53151830Q9A211C1000000/

FRBはこのようなリスクを抱えてぎりぎりの状態で日々オペレーションするよりは、ある程度まとまった金額を市場に注入する方が良いと考えたのでしょう。したがってFRBのバランスシート拡大の本当の理由は準備預金の注入であり、量的緩和ではないと私は考えています。

市場が年2回の利下げとバランスシート拡大はステルス量的緩和であるというストーリーを期待している状態に対して、FRBの金利据え置き、バランスシート拡大の目的は短期流動性確保が目的であり、それが達成されれば年後半にも資産買入れが停止されるというギャップが存在するのであれば、それがどのように解消されるのか楽しみです。

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