利下げの扉が開かれた!パウエルFRB議長の緊急声明文の意味

銘柄分析・市場分析
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新型コロナウイルスのパンデミックリスクを受けて市場が急落したことでパウエルFRB議長が緊急声明文を発表しました。

今回はこの声明文がどのような意味を持つのか説明したいと思います。

まず上記の声明文をご覧ください。非常に短い声明文ですが、赤線を引いた” act as appropriate “という部分に注目です。

適切に対応するという意味ですが、この声明文を見て多くのエコノミストがFRBは利下げする!と喚きだしました。ゴールドマンサックスに至ってはFOMC前の緊急利下げもありうる、しかも0.5%も一気に利下げすると予想する有様です。

なぜそういう話になるかというと、パウエル議長が2019年に予防的利下げを行った時にこの文言を使ったからです。

上のグラフで簡単に振り返りましょう。パウエル議長は2018年に利上げを連続的に行い、2018年末の株価大暴落を引き起こしました。

そのため2019年1月のFOMCでハトに転換し、利上げから金利据え置きに転換したことで市場は反発しました。

その後は5月頃にトランプ大統領が貿易摩擦を激化させ、中国との報復関税の応酬、ファーウェイなどに対する制裁、メキシコなどにも関税をかけようとしました。

これを受けて株価は7%程度下落し、債券市場も利下げを織り込み始めました。

経済は堅調だったものの貿易摩擦の不確実性のために6月4日にパウエル議長が「適切に対応する」とコメントを出したのが最初だと思われます。それで市場はすぐに反発したのです。

そしてその直後の6月18日のFOMCでは利下げは行わなかったものの、それ以降の7月31日のFOMCから3回連続して利下げを実施しました。その6月FOMCの声明文に入っていたのが” act as appropriate “なのです。

下記は各FOMCの声明文の抜粋と政策金利の変更をまとめたものです。

4/30 In light of global economic and financial developments and muted inflation pressures, the Committee will be patient as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate may be appropriate to support these outcomes.変更なし  
6/18 In light of these uncertainties and muted inflation pressures, the Committee will closely monitor the implications of incoming information for the economic outlook and will act as appropriate to sustain the expansion, with a strong labor market and inflation near its symmetric 2 percent objective.変更なし
7/30 As the Committee contemplates the future path of the target range for the federal funds rate, it will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook and will act as appropriate to sustain the expansion, with a strong labor market and inflation near its symmetric 2 percent objective.▲0.25%
9/17 As the Committee contemplates the future path of the target range for the federal funds rate, it will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook and will act as appropriate to sustain the expansion, with a strong labor market and inflation near its symmetric 2 percent objective.▲0.25%
10/29 The Committee will continue to monitor the implications of incoming information for the economic outlook as it assesses the appropriate path of the target range for the federal funds rate.▲0.25%

上記を見れば分かりますが、声明文に” act as appropriate “が入っていると次回のFOMCで利下げが行われているのです!!

ただし、結果的に利下げが行われただけであって必ず利下げが行われる訳ではなく、当時はパウエル議長も利下げ期待を打ち消すような発言もしていました。

つまりこの” act as appropriate “という文言は、次回FOMCで利下げをするオプションがあるよというメッセージだと考えられます。

今回パウエル議長がこの” act as appropriate “という文言を緊急声明で発表したということは、3/17のFOMCに利下げオプションを緊急で滑り込ませたと言えるわけです。

ただし!0.5%の利下げを期待するのは行き過ぎだと私は考えます。当時と異なるのは声明文に経済のファンダメンタルが強いとあり、ややタカ的なこと、また周囲のFRBメンバーから利下げを正当化するコメントが聞かれないことです。2019年当時はFRBメンバーからも利下げが正当化されるなどのコメントが聞かれていました。

コロナウイルスの脅威があるとはいえ、まだ米国経済に直接的な影響はなく、米国経済指標も堅調なものしか出ていません。FRBとしてはリセッション前に利下げを使い切りたくはないはずなので実際に影響が見えてくるまで利下げしたくないというのが本音ではないかと思います。

” act as appropriate “という文言は非常に便利でして、常にFRBが後出しジャンケンをすることが出来ます。つまり、市場が元気なら利下げせず、市場がパニックになりそうであれば利下げするという柔軟な対応が取れるのです。

ですからこの声明文のおかげで市場が元気なら利下げ無し、市場がパニックなら利下げして下支えといった形で、”安定”がもたらされたと考えています。

私は利下げ無しで急落してくれることを期待していましたが、この声明文を受けてそのシナリオは弱くなりそうです。今でも0.5%利下げなどの満額回答は無理なので下落要因とは思っていますが0.25%の利下げでもやれば影響は小さくなるでしょう。

前の記事にも書きましたがパウエル議長は意外と優秀なんじゃないかと思います。FRBが優秀であれば市場のボラティリティが減り、私のような投資家には儲けるチャンスが減ってしまいます。

しかしFOMCだけでなく、大統領選やコロナの影響もあるため、引き続き買い場を探っていきたいと考えています。

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