パウエルFRB議長が11日に議会証言を行いましたが、内容としては私が以前から認識しているものと違いはありませんでした。

すなわち、量的緩和もどきの縮小と金利の据え置きです。
まず量的緩和もどきについて、
「金融当局の米財務省短期証券(Tビル)購入により、銀行の準備金は潤沢な状態を維持する水準へと継続的に積み上がってきた。われわれはレポオペの積極的な活用を徐々にやめる意向だ」
と発言しています。
FRBはこの潤沢な状態を1.5兆ドル程度と以前発言しています。この1.5兆ドルは足元ほぼ達成している水準です。
よってこの量的緩和もどきは次のFOMCあたりで公式に縮小が発表される可能性が高いでしょう。
次に金利について、
「FOMCは現行の金融政策スタンスが持続的な経済成長、力強い労働市場、および委員会が目指す対称的な2%目標にインフレ率が戻るのを支えると考えている」と議長は発言。「米経済に関する今後の情報がこうした見通しにおおむね整合的なままであるなら、現行の金融政策スタンスは引き続き適切となる公算が大きい」と述べた。
とあります。
すなわち現行のFFレート1.5-1.75%は緩和的であると認識し、経済が概ね見通しに整合的である限りは変更しないと言っている訳です。
では最近のコロナウイルスはその整合性を崩すほどのものであるのかというと、
質疑応答で、新型ウイルスの米経済への潜在的影響について認識を問われると、「米国に一定の影響が及ぶであろうこと、その可能性が非常に高いことを承知している」と発言。米金融当局にとっての問題は、それが「長引く」のか「重大な」ものになるのかであり、「発言するには時期尚早だ」と付け加えた。
このように、判断を時期尚早と保留しています。つまり現段階ではまだ見通しを変えるほどのリスクだとは認識していないということです。
市場がいつまで楽観を続けるのかは分かりませんが、このまま時間が経てば既に年内に1.5回の利下げを織り込んでいる債券は間違いなく助からないでしょう。
問題は債券が助からないような相場が来た時に株だけが助かるようなことがあるのかということです。
景気がよほど強くなれば債券は引き締めなくても下落し(金利は上昇)、株が強くなるというシナリオはあり得ますが、それが期待できると私は考えていません。
つまり債券が助からない時、株も恐らく助からないだろうということです。
そしてもしFRBが見通しを変更して利下げを行うような場合、債券は助かるかも知れません。しかしそれほど見通しが変化することが起きているならば株が助かると考えるのは難しいでしょう。
いずれにせよ株価は多少の調整が必要だと考えています。
もしこれ以上上げるのであればそれはもはやバブルであり、通常の予想が効く範囲外のものとなるでしょう。