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若者は債券などに分散投資せず株式に集中投資がベスト、投資期間でリスク水準を管理するという考え方

皆さんはどれくらいの割合を債券に投資しているでしょうか?

 

恐らく当ブログを読みに来ていただける方は2,30代のサラリーマンが多いのではないかと思い、それくらいの若い方は株式に集中投資した方が良いですよという話をします。

 

分散投資するとリスクは下がるがリターンも下がる

そもそも、分散投資が推奨されている理由は現代ポートフォリオ理論の最適ポートフォリオが理由かと思います。

下の図は縦軸にリターン、横軸にリスクを取って投資資産をプロットしたものです。

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(※数値はニッセイアセットのインプライド・リターンを簡便に導出してみよう!のインプライド・リターンとリスク、相関を使わせて頂きました。)

この世の全ての投資資産がグラフにプロットされているとすると、出来るだけリスクが低くてリターンが高い、左上に位置する資産に投資したいですよね。

投資家の仕事は、この世に存在する投資対象から何に投資するかを選ぶ事なので、グラフの中の投資対象を一つ選んで投資するか、複数の投資資産を組み合わせて投資することになります。

 

ところで、例えば国内株式と外国株式を50%:50%で組み入れた場合のリスクリターンを計算すると、

期待リターン=w(内株)×R(内株)+w(外株)×R(外株)
      =50%×7.4%+50%×9.4%=8.4%
期待リスク=√{w(内株)^2×σ(内株)^2+w(外株)^2×σ(外株)^2
      +2×w(内株)×w(外株)×σ(内株)×σ(外株)×ρ(内株・外株)}
     =√{(50%)^2×(18.1%)^2+(50%)^2×(19.3%)^2
       +2×50%×50%×18.1%×19.3%×0.59}
     =16.68%
シャープレシオ=期待リターン÷期待リスク=8.4%÷16.68%=0.504
w:ウェイト
R:リターン
σ:リスク
ρ:相関係数

  

よって、国内株式と外国株式を50%:50%で組み入れた組合せポートは、
リターン   :8.4%
リスク    :16.68%
シャープレシオ:0.504となります。
下図は組み合わせポートフォリオのイメージ図です。

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リターンは単純平均ですが、リスクは相関係数が1未満であれば、つまり全く同じ動き方をする資産でなければ、単純平均よりも下がります。よって組み合わせた時にリターンよりもリスクの下がり度合いの方が大きいので、リスク当たりリターン(シャープレシオ)は必ず向上します。

グラフを見ると、縦軸のリターンは単純平均になりますが、リスクは単純平均の線よりも左に移動してるのが分かるかと思います。


外株と内株の組入比率を徐々ににずらしていくと下図の青線を辿るイメージです。
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このようにリスク1単位当たりのリターンが向上することこそが分散投資が推奨される理由であり、投資効率が良いと言われるのです。

 

では、あらゆる資産の組合せによってどのようなリスクリターンが実現できるでしょうか。

下の図は分散投資する事で実現しうるリスクリターンの範囲をシャドー部分で表したイメージ図で、シャドー部分の左縁は効率的フロンティアと呼ばれます。
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効率的フロンティアは先ほどの組合せポートの様に、いくつかの資産を組み合わせて、それぞれのリターンを最も低いリスクで実現してくれる組合せポートフォリオです。

そしてまだこの図にはプロットされていない普通預金(仮にリスクゼロ、リターン0.1%)などの無リスク資産と、普通預金と効率的フロンティアの接点のポートフォリオ分散投資をすれば、下のグラフの赤線上のリスクリターンが実現出来ます。
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赤い2つの丸を組み合わせると、赤い直線上のリスクリターンが実現できるわけです。

無リスク資産(普通預金など)はリターンの標準偏差がゼロで、他の投資資産との相関係数もゼロなので、組み合わせによるリスク当たりリターンの向上効果は無く、リスクは接点ポートフォリオの組入比率に比例するため直線になります。

この世に存在する投資対象の組み合わせでは、この赤い直線上より左上のリスクリターンを実現することは出来ませんよね。

ですから教科書的にはこの接点ポートフォリオと無リスク資産の組入比率を変化させて、最も有利なリスクリターンで投資しましょうという事になっています。

例えば、上図のオレンジの破線の様にリターンが4%のポートフォリオを作るには、ざっくり無リスク資産20%、接点ポートフォリオを80%組み入れれば、最も低いリスク(図だと5%くらい)で4%のリターンを達成出来るのです。

 

ところで、接点ポートフォリオよりも上の位置のリターンを得るためには、どうすれば良いのでしょうか?

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この図でざっくり言うと、接点ポートフォリオを150%組み入れ、無リスク資産をマイナス50%組み入れる必要があります。

意味わかりますか?

無リスク資産をマイナス50%組み入れるとは、無リスク金利で投資資金の50%の借入を起こして、150%になった資金でレバレッジをかけて接点ポートフォリオに投資する事を意味します。

 

これは、現実的にありえませんよね?

どこの誰が無リスク金利で金を貸してくれるんですか?

そもそも個人が借入を行いながら接点ポートフォリオレバレッジ投資を行ってポートフォリオを管理することなど出来ますか?

ありえませんよね。

というわけで現物買いの真っ当な個人投資家分散投資をすれば、結局下図の太赤線の範囲くらいのリスクリターンでしか投資出来ない訳です。

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つまり、現実的には分散投資をすれば株式に集中投資するのに比べてリターンの水準を下げざるをえないのです。

リスク当たりリターンは向上してますが。

 

長期投資はリスクを低減させる

リターン水準は下がっても分散投資してリスク当たりリターンを向上させるべきか、リスク当たりリターンが低くても高いリターン水準を狙うのが良いのか、結局どちらなのでしょう。

私の結論は、長期投資であれば間違いなく高いリターンを狙った方が良い、です。

つまり、全力株式ぶっこみ投資です。

なぜなら、長期投資はリスクを低減させるからです。

この記事を書くにあたって色々ネットで検索したのですが、長期投資でリスクは減らない、むしろ増えるという記事がたくさんあり、とても驚きました。

数字に対する感性が違うのでしょうか。

 

それでは、実際に長期で運用するとどのような差がつくのか見てみましょう。

下表は上で用いたのと同じデータで、外国株式100%、外国債券100%、外国株式と外国債券を50%ずつ組み合わせたポートフォリオのリスクリターンです。

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それぞれに投資して、n年間運用した時のことを考えましょう。

n年間運用した時の期待リターンは複利計算で(1+R)^n-1ですね。

リスク(標準偏差)を求めるにはまず分散を求めます。分散V(偏差σの2乗)は運用期間に単純比例するので、n年間運用した分散はV×nとなり、標準偏差はこれにルートをかけて√(V×n)=σ√nがn年間運用した時の標準偏差です。

正規分布に従っているという前提でn年間運用したとすると、95%の信頼区間をとれば、運用結果は期待リターン(1+R)^n-1から±2σ√nの範囲内におよそ95%の確率で収まっていることになります。

 

下のグラフはそれぞれの期待リターンを濃い線で、期待リターンから±2σ√nの範囲を薄い線で表したものです。

まず5年間。
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外株はリスクが高いので、信頼区間95%の薄い赤線が全体を包んでおり、5年くらいではどの資産が有利が分かりませんね。

では次に15年。

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 少し差が出てきましたでしょうか?

さらに30年。

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ここまでくれば、明らかに期待リターンの差が出てきていますね。

リスクが高くとも外株100%への投資が最も成績が良いことは間違いなさそうです。

 

ダメ押しで50年。

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完全なる外株100%の勝利です。

運用期間が短い時はリスクのばらつきが優性だったのが、運用期間が長くなるにつれて、徐々に期待リターンの差がはっきり現れてくるのが分かりましたでしょうか。
50年ではリスクも小さく見えますね。

なぜでしょうか?

 

5年間外株に投資した場合、

期待リターンは(1+R)^n-1=(1+9.4%)^5-1=57%
ばらつきは2σ√n=2×19.3%×√5=86.3%
となります。

 

57%のリターンを期待しているのに86.3%もばらつきがあったら大変ですよね。
期待リターンに対して、86.3%÷57%=151.4%もばらつきが占めている訳です。

 

では、50年間外株に投資した場合、

期待リターンは(1+R)^n-1=(1+9.4%)^50-1=8830%
ばらつきは2σ√n=2×19.3%×√50=273%

 

期待リターンに対してばらつきは273%÷8830%=3%しか占めていません。

ばらつきの幅は86.3%から273%に大きくなっているのですが、期待リターンに占める割合はぐっと小さくなってるので、期待リターンからのブレはかなり小さいと言っていいでしょう。 

 

なぜこのようなことになるかと言えば、リターンはn乗で指数関数的に上昇するのに対し、ばらつきは√nでしか広がらないので、この伸び率の違いによって、期待リターンに占めるばらつきの割合2σ√n÷{(1+R)^n-1}がどんどん小さくなっていくので、長期投資をするほどリスクが低減していくのです。

偏差の絶対値は大きくなっていますが、期待リターンに占めるずれの割合は小さいですよね。

また、株式のリターンは単純な確率論ではなく、平均回帰性があると言われているので、実際のばらつきはもっと小さいと思います。

 

以上から、長期投資であればリスク当たりリターンを最大化するよりも、リターンの絶対値を上げることの方が重要だということが分かって頂けましたでしょうか。

 

投資期間を無視して、やみくもに分散させて、バランスの良いポートフォリオですね、なんて馬鹿げていると思いませんか?

 

正しいリスク管理とは、投資期間はどれくらいなのか、どのくらいのリスクを取っても良い資金なのかを把握し、取れるリスクをしっかり取る、ということで、意味もなくリスクを下げることではありません。

 

大事な事なので繰り返しますが、リスク管理とは、リスクを下げることではなく、どのくらいのリスクを取って良いのか把握すること、です

 

ちなみに私も長い投資期間が取れるので、投資資産の内訳はもちろん、全力株式ぶっこみ集中投資100%です。

 

男は黙って全力株式ぶっこみ投資ですね。

 

投資期間が長ければリスクが高くてもリターンが高い方が良い、という話でした。