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米国株式のセクター別騰落率に量的緩和縮小の影

FRBの金融引き締めが米国株式市場へ影響を与えているため、セクター別騰落率を確認しておきましょう。
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上のチャートはおよそ1年間のS&P500と主要11業種のGICSセクター別騰落率です。

チャートを見るとパフォーマンスの高いものから順に、
・一般消費財
・IT
・S&P500指数
・エネルギー、ヘルスケア
・金融、資本財
・素材
・不動産
・生活必需品、公益、通信の順となっています。
 
この順番を見て何が起こっているかわかりますでしょうか?
アンダーパフォームしている通信、不動産、公益、生活必需品セクターはいわゆる債券代替セクターです。
事業が安定しており利益のボラティリティが低く、安定した配当が期待できるといった特徴があるため、低金利の環境では債券に投資されていた資金がこれらのセクターに流れ込むのです。
しかし、上記のチャートからはFRB量的緩和を巻き戻していることで逆の流れが起こっていることが分かります。米国金利は2016年7月にボトムをつけてから上昇トレンドを維持していますが、債券の魅力が高まったことで、これらのセクターが売却され、債券に資金が戻っているのです。
 
これまでの金利低下局面では、FRBの量的金融緩和によって市場の国債が買われ、金利が押し下げられてきました。利回りが低下したことで国債に魅力を感じなくなった資金は社債に向かい、同様に社債の利回りを押し下げます。そして元々社債に投資されていた資金はジャンク債や不動産、債券代替セクターの株式へと、徐々にリスクの高い資産へ押し出されて行ったのです。これはポートフォリオリバランス効果と呼ばれます。

そして株式の中でも不動産、通信、生活必需品、公益セクターは事業収益が安定しており、債券代替として投資されやすいです。株式の債券化ですね。
ポートフォリオリバランス効果によって最も恩恵を受けたのがこれらのセクターなのです。

ところが金融引き締めによって米国債金利が上昇することで、このポートフォリオリバランス効果の逆流が起こり、過去に最も恩恵を受けたセクターは、最も逆風を受けるセクターに変わっています。
上のチャートを見れば、見事なまでに債券代替セクターがアンダーパフォームしていますね。
 
FRBの金融引き締めによって新興国通貨、株式市場などは大きく下落している一方、米国市場は金利の上昇にも関わらず底堅いため、金融政策を正常化しても市場は持ちこたえられるだろうというような雰囲気が漂っていますが、確実に影響は出てきているのです。

FRBは自称あと3~4回程度の利上げすると宣言しており、バランスシート縮小はその規模が3か月ごとに加速されています。2018年10月には最大の月間500億ドルペースの縮小となりますが、米国株式市場は耐えられるでしょうか?
もし米国金利が上方にブレイクすれば、米国株式市場には辛い環境となるでしょう。
 
しかし、その時こそが買い場なのです。
現在は大きな債務バブルが見当たらず、特に家計が健全なため、急激に経済のファンダメンタルが悪化するとは考えていません。
急がず魅力的な銘柄を探して目をつけておきましょう。