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金利1%上昇で株価は何%下がるのか?

皆さんは金利が1%上昇したら株価は何%下がるのか考えたことはありますでしょうか。

多少数学遊びにはなりますが、今回はそれを計算してみたいと思います。

漠然とした金利上昇への恐怖感を抱くよりも、ある程度インパクトを計算しておくと物事に冷静に対処できるというものです。

まず下のチャートは米国10年債利回り(青)とSP500(赤)の推移です。

f:id:shurrin:20181015000612p:plain

チャートを見る限り、主な金利上昇局面で株価は下落どころかむしろ上昇しています。

教科書的には株価は企業の将来の利益を現在価値に割り引いて求められるので、金利が上昇すれば、より高い割引率で将来の利益が割り引かれることになるため、株価は下落します。

 

しかし、そうなっていないのには2つ理由があると考えられます。

下の数式は企業利益が永遠に一定の成長率で伸びると考えて、株価を最も単純に表したものです。

 P=\displaystyle\frac{E}{r-g}\

P:株価、E:EPS、r:割引率、g:利益成長率

金利上昇と共に株価が上昇する理由の一つは、金利上昇局面では分母r(割引率)の上昇を上回る分子E(企業利益)の上昇が見られること。もう一つは金利の上昇ほどにはr(割引率)が上昇していないことです。 

教科書的には『r(割引率)=リスクフリーレート(10年国債利回り)+株に対するリスクプレミアム』と言われるので、金利が1%上昇したら割引率も1%上昇しそうですが、私が観察する限り、金利が上昇するとリスクプレミアムがある程度それを相殺するように変化して、株の割引率r(期待リターン)は大きく変動していません。

 

そこで、今回は出来るだけ単純化して、利益の増加を市場が完全に織り込んでおり、株に対するリスクプレミアムも変化しないと想定して、金利の変化が株価に与える影響だけを計算してみましょう。

 

まず上記の式に、

・P=2,767.13(2018年10月12日S&P500)
・E=175(翌12か月EPS Factsetより)
・r=10.8%(過去記事 株に投資すると何%儲かるか知っているかより)

を代入すると利益成長率g=4.5%と求まります。

つまりS&P500を単純化すると、翌12か月EPSが175ドルで、それが毎年4.5%成長していくと予想されており、毎年10.8%のリターンを生むように値付けされた結果、2767.13ドルという値がついている、ということになり、下記の式が成り立っています。

 2767.13 (P)=\displaystyle\frac{175(E)}{10.8%(r)-4.5%(g)}\

そして金利が1%上昇したとして、この式のrを10.8%→11.8%に変化させ、株価Pを再計算すると、2397.26となります。

よって下落率は、1-2397.26÷2767.13=13.4%という計算結果が出ます。

バリュエーションだけでなく金利負担によるEPS減少分も考慮するとざっくり15%強でしょうか。

つまり、金利が1%上昇するとS&P500には15%強の下落圧力がかかる、という事になります。

結構大きい印象ではないでしょうか?株のリスクプレミアムが相殺してくれないという前提ですが。

最近ジェレミーシーゲル氏は株価は利益成長をすべて織り込んでしまったと言っていますが、そうだとすれば金利上昇のマイナス影響をもろに受けることになりますね。

あとはグロース株の方が金利上昇に弱いので注意して下さい。

サラリーマン長期投資家は買い増しのタイミングを計るのが主な仕事かと思いますが、事前にインパクトを計算しておくとパニックにならずに買い増しの判断が出来るでしょう。

 

この単純化した数式は色々な場面で役に立つので、使いこなせるようになることをお勧めします。

こちらの記事もご参考にして下さい。

www.artisticinvestmentstrategy.com