アーティスティック・インベストメント・ストラテジー

サラリーマン投資家が知るべき米国株式投資、最新ファンダメンタルズ情報、国際政治、資本家マインドなど




なぜ日本は円高・デフレ・不況になるのか、本当の原因とその処方箋:内需拡大によって米国とWin-Winになることを望む

前回の記事『米国が円高ドル安を望む瞬間:財政赤字とインフレに対する危機認識の変化点』で、米国にとり為替とは結果ではなく手段であるという事を書きました。

今回は通貨(それも金とリンクされておらず、しかもいくらでも発行できるという魔法のような通貨)が持つ構造的な問題に踏み込んで、なぜ日本では円高・デフレ・不況が続き、失われた20年を過ごす事になったのか、その構造的な話をしたいと思います。

 

なぜ日本は失われた20年を過ごし、円高・デフレ・不況を経験したのか。

結論から言えば、変動為替相場制下での経常収支黒字が原因です。

 

三國陽夫氏著の「黒字亡国」P17に、戦後大蔵大臣を務めGHQと対立した元首相の石橋湛山(たんざん)が執筆した『金輸出解禁論史』(1929年3月発行の週刊東洋経済新報に掲載)の引用があります。

それによると、

アメリカが第一次世界大戦中に金の輸出を停止している時に、日本が大きな黒字を計上し、同時に多額のドルの輸出代金を抱えた。金と切り離されて、いわば紙切れ同然となったドルの輸出代金を円に交換しようとすると、円の為替レートが大きく切り上がった。円高を嫌って多額のドルをそのまま抱えると、今度はデフレ効果が表れた。”

この説明に三國陽夫氏は目が覚めるような思いをしたそうです。 

 

三國陽夫氏は『金輸出解禁論史』を参考に、財界のある長老に日本の実情を説明したところ、バブル期の銀座の華やかな高級クラブのたとえ話をしてくれたそうです。

 ”お客を接待でその高級クラブに連れていくと、目の玉が飛び出るような請求書がくる。しかし、幸い現金払いではなく、つけにしておいてくれる。月に一度ママが集金にくるが、ついつい払いそびれることがある。ママはキリキリと取り立てることなく、笑って支払いを先に延ばしてくれた。他の客も同じようなものだったらしい。

 高級クラブの経営はお客さんもそこそこ入って賑わっており、売り上げは上がっていたが、代金の回収は進まず、高級感を保つには何かと物入りで、資金繰りは結構大変だっただろう。最後に財界の長老はこう呟いた。

「なんだ、日本経済は銀座の高級クラブ(の経営)と同じことか」”

 

日本は利益(経常収支黒字)を積み上げることが自己目的化してしまい、積極的に日本で設備投資を行いました。ドルを儲けてもドルで何かを買うわけでもなく、国内でドルは使えないのでドルを円に交換した。すると円の為替レートが切り上がり、国内の生産者が破壊された。仕方なく儲けを円に交換するのは辞めて、そのまま米国に貸し置いた。国内では輸出向けに生産を拡大しているのに、売上は未収金が増えていくようなもので、国内の資金繰りは苦しくなり、デフレになった。対外純資産は積み上がり、暮らしは貧しいのに豊かになっている錯覚を覚えた。こうして黒字が積み上がるほど、変動為替相場制がもたらす自動調節機能によって日本の生産者は破壊されていく。円高でだんだん割に合わなくなって、いつの間にか企業がグローバル化し、海外で外国人を雇って生産するようになった。積み上がった対外純資産は彼らが持って行ってしまい、日本には貧しい労働者が取り残された。

一方の米国は多くを消費し物質的に豊かになりました。稼いだ金額よりも多くを消費しましたが赤字分は黒字国がお金を貸してくれました。赤字が増えた分だけドルが流出しますが、そのドルはドル預金として米国に還流します。預金の用途は預金者ではなく預金を預かる銀行が決めることが出来るため、米国の金融環境は緩慢になり、インフレと経済成長率が高まりました。赤字は消費だけでなく対外投資にも当てられ、低い資金調達コストと高い収益性が相まって、対外純債務国にも関わらず投資収益はプラスです。

結局のところ、日本は本来得られた富をみすみす米国に還流していまい、自らを仮想通貨植民地に追いやっていることになります。

 

ここまでの説明で理解して頂ければ素晴らしいのですが、この仕組みは戦後の世界経済システムの真理に触れると言っても良いほど根深いものであり、さらに深く理解するために金本位制まで遡ってみたいと思います。

そもそもなぜ世の中は変動為替相場制なのか?固定じゃダメなのか?

無意識に当然と思い込んでいる経済システムに疑問を持って頂ければ幸いです。

 

金本位制下での経常収支不均衡

金本位制下での貿易では決済に金(きん)がそのまま使われると理解することが出来ます。

金本位制下では、赤字国の生産性の改善によって二国間の経常収支の均衡が達成される力が働きます。

輸出国はモノ・サービスを輸出することで金貨を得る。一方輸入国は金貨を支払います。輸出は好きなだけ出来ますが、輸入は保有している金が尽きたらそれ以上は出来ません。

輸出超過国は国内に金貨を持ち帰ることが出来、その金は国内でも通貨として使用可能なので、それで給料や設備投資費を支払えば国内に金が巡り、国民は豊かになり、通貨が増えるためインフレ圧力がかかります。

一方輸入超過国は国内から金貨が流出するため、赤字分だけ国内を巡る金が減少し、デフレや賃金低下圧力となります。

また金が無ければ輸入が出来ないので、輸入と等しい輸出をする必要があります。

つまり金本位制下では経常収支不均衡が許されず、物々交換の世界に近いのです。

赤字国は輸入を減らすために質素な生活をしたり、輸出を増やすために生産性を上げたり、賃金カットで価格を安くしたりして不均衡を是正する必要があります。

金本位制下では経常収支黒字国が豊かになり、経常収支赤字国が苦しくなる、赤字国責任なのです。

 

金為替本位制での経常収支不均衡

戦後のブレトンウッズ体制では、米ドルを金1オンス=35ドルで固定し、さらに各国通貨の為替レートをドルに対して固定しました。

この体制を金本位制に含むことも出来ますが、実際にやり取りするのは金ではなく各国の管理通貨なので金為替本位制と呼びます。

日米関係で例えると、金本位制と異なり、経常収支黒字の日本は金ではなくドルを持ち帰り、経常収支赤字の米国は金ではなくドルを失います。

日本は輸出超過のためドルを受け取りますが、企業はドルを貰っても給料や設備投資費を払うことは出来ないので銀行で円に交換して貰い、銀行は市場でドルを処分します。この時、銀行が市場でドル売り円買いを行うため円高になります。

そのため固定相場を維持するために財務省の為替介入が必要になります。具体的には財務省政府短期証券を発行し、日銀が円を刷ってこれを買い、財務省に円を供給します。そして財務省が円売りドル買いを行うことで、持ち帰られたドル相当の円が国内に供給され、同額のドルが財務省に外貨準備として積み上げられます。国内にドル売上相当の円が供給されるので通貨不足もなく、固定為替相場によって輸出競争力も変わらないため景気は良くなります。

一方米国は輸入超過のため手元に円は残らず、経常収支赤字分は債券を発行しドルを調達して支払います。債券は黒字国がお金を貸したり、赤字国の(中央)銀行が買うことによってファイナンスされます。

米国がドルを増やして輸入ばかりしているとドル安円高になりますが、手元に円が無いためドルを買い支えることは出来ません。ドルを刷ってドルを安く誘導することは出来ますが、高く維持することは出来ません。

一方日本は輸出超過のため手元にドルが入り、市場でドル売り円買いが行われるので自然に円が強くなります。また、円は自国通貨なので、日銀に円を刷らせて円を安くすることも出来ます。

経常収支赤字国は外貨がないため自国通貨の下落を止めることは出来ないですが、経常収支黒字国は自国の為替レートを高くすることも安くすることも自由に調節することが出来る、いわば黒字国特権を持っています。

つまり、経常収支黒字国が為替介入することによって為替レートは固定を維持することが出来るのです。

金為替本位制下では為替レートによって価格競争力が変化せず、支払いにもそれぞれ自国通貨を使っているので支払いにも支障はなく、経常収支不均衡は放置され、拡大を続けます。

日本は為替介入によって競争力を維持しながら国内にも十分な円が供給でき、同時にドルを外貨準備に積み上げました。日本はそれを金と交換したり、輸入を増やさなくても、国内で円がじゃぶじゃぶ増えて会計上儲かっていれば景気の良さを感じれるので満足でした。

これはとても重要なことを示唆しています。輸入せずに通貨が手に入るだけで満足なのであれば、輸出製品を輸出せずに海に埋め立て、埋め立てた分の円を政府が刷って与えれば国内は景気が良かったという話になるのです。

しかし本当の豊かさを求めるフランスイギリスがドルと金を交換しろと米国に言ってしまったので金為替本位制は崩壊しました(ニクソンショック)。

黒字国が保有しているドルを金に交換しろと言えばこの体制は崩壊します。

なぜならそれを要求してしまえば金為替本位制ではなく金本位制と同じだからです。

金本位制下では経常収支不均衡は許されません。

 

変動為替相場制での経常収支不均衡

金為替本位制が崩壊して変動為替相場制になりました。

各国の通貨は金とのリンクが切れ、相手国との交易条件が為替レートといういわばバーチャルな世界で変動します。

この制度の前提として為替介入は許されないとします。

変動為替相場制下では、価格競争力の変化によって二国間の経常収支均衡が達成される力が働きます。

経常収支黒字の日本が儲けたドルを円に交換すると円高になるので価格競争力が落ち、一方輸入はし易くなります。米国は逆です。

為替レートというバーチャルな世界で競争力が調整されてしまうので、生産性を改善しないといけないのは黒字国の日本です。さらなる設備投資や賃金カットをして競争力を上げないと輸出が減ってしまう。もし競争力を上げてもすぐに為替レートで調整されてしまい、無限にこれが続きます。財務省が為替介入してくれないので稼いだドルを円にすると円高になってしまう。企業は円高にしたくないので儲けたドルと円を交換せずに米国事業に再投資するか、そのまま米国に預金して銀行が米国債を買うようになります。すると今度は円の通貨不足になって企業は資金繰りが苦しくなり、デフレになってしまう。そして限界が来ると日本で作るのを辞め、空洞化する。一方の米国は何もしなくても勝手に価格競争力が上がるので、輸出が増え、賃金が上がる。輸入で日本に払ったドルは再び日本が貸してくれるので、経常収支赤字が広がるほどドルが日本から米国に還流し、ドルの総量が増え、資金繰りが楽になってインフレになる。インフレになれば債務負担が減るので借り入れが伸び経済が成長する。

つまり、変動為替相場制下では金本位制と逆になり、経常収支黒字国が苦しくなり、経常収支赤字国は豊かになる、黒字国責任なのです。

特筆すべきは債務成長に対する影響です。インフレが何パーセントであっても債務の額面は変わりません。インフレなら売上は伸びるが100万の借金は100万の借金のまま、売上対比債務負担は軽くなります。逆くにデフレでは売上は下がるのに借金の額面は変わらないので売上対比債務負担は重くなる。インフレの米国は借入が活発になり景気が拡大する。デフレの日本は債務負担が重くなるので借入が進まない。

インフレでは現金の価値が目減りしていくので格差が縮小し、どんどん働いて稼ごうとなる。デフレでは現金の価値が上がるので格差が拡大し、昔からの金持ちはどんどん節約しようという世界になる。給料が下がってもデフレだから実質購買力で見れば豊かなどの主張は机上の空論なのです。

為替の自動調節機能といえば聞こえは良いですが、こうして調整される側には痛みが伴います。

 

ここまでの流れ、分かり辛いかも知れないので具体的に想像してみましょう。

皆さんが輸出企業に勤めていることを想像して下さい。

皆さんは日本で働きモノを作っています。社長が米国に行ってモノを売り、ドルを持ち帰ってきました。

社長「たくさんドルを稼いだぞ!」

従業員「そ、そうですか汗。とりあえず給料は日本円でお願いしますね」

そこで社長は銀行のカスタマーディーラーに電話してドルを円に交換してもらい、銀行はそのドルをインターバンク市場でドル売り円買いをして処分しました。この時円高になりましたが、米国に怒られるので財務省は放置しました。

社長「よし!ドルが円になったからこれで給料も設備投資費も払える!」

従業員「ありがとうございます!」

~1年後~

社長「今年は去年よりたくさん売れた!よくやった!」

社長「しかし、不思議な事に円高になったせいでドルを円に換えたら去年より売上が少なくなってしまった。でも輸出は好調だから輸出向け設備に投資しないといけない。だからみんなの給料は減らす。すまんな」

従業員「え・・・」

~3年後~

社長「今年も円高でまた円建ての売上が減ってしまった。輸出向け設備の投資でさらに円が不足している。。。」

社長「しかもうちが給料減らしたように周りも減らしてるようで国内の売上も不振だ。また給料減らすけど。。。皆すまんな。でも円高で物価下がったしええやろ。」

従業員「え・・・」

~5年後~

社長「今年も円高で売上が少なくなった。しかも国内向けも不振だ。。。」

社長「そうだ、円高になるからもうドルを円に交換するのは止める!このドルは米国に預金しておこう!」

従業員「え・・・、給料はどうやって払うんですか?」

社長「国内部門の売上があるからそこから払うよ、みんなで分けるから取り分はさらに減ると思うけど。。。」

従業員「え・・・」

~X年後~

社長「また円高で売上が減ってしまった。日本人の給料が高いから輸出価格を値下げするのも限界だ。国内売上もデフレで不振だ。。。」

社長「そうだ!輸出しないでアメリカで作ればいいんだ!円に換えずに取っておいたドル資産があるから簡単だ!」

従業員「え・・・、我々の仕事は?」

社長「退職希望者には退職金を上乗せする」

従業員「空洞化・・・」

こうして輸出を頑張り、経常収支黒字が積み上がった結果、円高が進み、円が不足し、デフレになり、給料が減り、空洞化が生じ、不況になりました。

そして企業はドルの儲けを従業員に還元することなくグローバル化し、国内の労働者は置き去りにされました。

 

大英帝国の植民地通貨政策との比較

このように、日本は経常収支黒字を積み上げた結果、円高、デフレ、不況となり、会計上儲かっていても物質的な生活は豊かになっていない。一方米国は、経常収支赤字を積み上げた結果、ドル安、インフレ、好況となり、会計上はマイナスでも物質的な生活は豊かになっています。

変動為替相場制下の経常収支不均衡が黒字国責任をもたらし、財務省による為替介入という解決法が封じられているためです。

 

この構図は1900年代前半の大英帝国植民地通貨政策に当てはめることが出来ます。スターリング・ポンド基軸通貨の座を米ドルに渡す直前、どのように運用されていたのでしょうか。

かつての英領植民地(主にインド)は対外経常収支黒字(主にドル)を100%準備通貨制によってポンドで運用する事を強制されていました。植民地が稼いだドルはイングランド銀行に預けられ、代わりにポンド預金残高が増えます。預けられたドルはドル・プール制の下イギリスによって中央管理され、ドルが不足している他のスターリング地域(大英帝国の支配経済圏でポンドが使われる地域)の経常収支赤字国に資本輸出する為に使われたのです。一方植民地は経常収支黒字によって稼いだドルがポンド預金の増加という形で膨れ上がりましたが、このポンドはドルと交換することが制限されており輸入に充てて豊かになることは出来ませんでした。こうして裏付けを失って膨れ上がったポンド預金残高は、ポンドが戦後ブレトンウッズ体制によって基軸通貨の座をドルに明け渡してから、1949年に30%も切り下げられて価値を失い、植民地が自由に使えるようになった時には既に価値が無くなってしまっていたのです。

f:id:shurrin:20181202230226p:plain
(出所:Graph of £/$ exchange rate (1915 - today)

大英帝国による植民地通貨政策とは、産業革命によってインドを核とする植民地経済を破壊し、付加価値の低い原材料輸出工場へと変え、ドル地域などから貿易黒字を稼がせる。そしてイギリスから高付加価値の工業製品を買わせ、それでも余った黒字はポンド預金させることで、イギリスは潤沢な外貨を積み上げることが出来、それをもってドル地域の物品を輸入したり、投資を行う。すなわち、植民地はイギリスの資金供給源にされ、植民地が積み上げたポンド預金は価値を失って帰ってきたのです。

この構図と日米関係は小さな違いはあれど、輸出によって獲得した資本が宗主国に使われ、植民地は裏付けのない宗主国の管理通貨を預金に積み上げるという点で同じだと言えるでしょう。

 

 一方上手にやっているのはドイツです。ドイツはユーロという共通通貨を使い、欧州中央銀行に発行を管理させることで、ユーロ加盟国に対し実質的な金本位制を敷いた結果、赤字国がつけを払わされることになり、ドイツは黒字を続けても経済がおかしくならないのです。

逆にユーロ圏の赤字国は為替レートによって競争力をチャラに出来ないので、必死で働いて生産性をドイツ並みに高めないといけないのです。

(参考:イギリスのインド支配とその遺産 木村雅昭資本供給源としての英領植民地 本山美彦植民地スターリング為替本位制について 本山美彦戦時・戦後のポンド残高問題 上川孝夫

 

消えゆく日本の対外純資産

まずはっきりと認識すべきは対外純資産とはただ積み上げておいたり、海外を豊かにするためのものではなく、日本国内の労働によって生まれた産物であり最終的には輸入によって消費され国内を物質的に豊かにするべきものです。

日本は世界一の対外純資産を誇り、今もなお積み上げていますが、過去に積み上げた対外純資産はインフレによって毎年目減りしていることを認識しているでしょうか。

日本の2017年末の対外資産は約1012兆円、対外負債は約684兆円ですが、多くの対外資産はドル建て、対外負債は円建てと考えられます。

日本はほとんどインフレが無いので負債の重さは変わらないですが、ドル建て資産はインフレで購買力が下がっていきます。

変動為替相場制のために意識しづらいですが、上記のポンドの切り下げのような事態が毎日起こっているのです。

資産の所有権である株式投資や対外直接投資であれば問題ありませんが、米ドル預金などは全くの無意味なのです。

 

円高・デフレ・不況の本当の原因と処方箋

これまで述べたように金本位制下では赤字国責任で、変動為替相場制下では黒字国責任です。

日本は変動為替相場制下での経常収支黒字のため円高となり、円高を嫌がってドルをそのまま米国に貸し置いた結果、通貨不足に悩まされ、円高・デフレ・不況となっている。一方米国は日本の黒字を使うことで繁栄している。まるで仮想通貨植民地です。

世の中の一般的な説明ではデフレだから円高円高だからデフレなどの説明が多いと感じますが、何処からともなくデフレや円高が生じるのではなく、経常収支黒字と変動為替相場制の組合せという構造的な問題がこれらを生み出しているのです。

 

これらの根本的な原因は経常収支不均衡であり、アメリカが強制的に日本をはめ込んだ訳ではありません。日本の輸出振興策がいけないのです。

米国もこの構図に気づいたのは1995年に強いドルは国益とか言い出した元ゴールドマンサックス会長のルービン財務長官からではないでしょうか。ドルが弱くなり続ければいずれ輸出が大きくなり、米国が経常収支黒字国になる可能性もあります。しかし強い米ドルは国益と言ったルービンは不均衡を是正するのはやめて、アメリカ=消費国、日本=生産国という国際分業にして、借金で永遠に消費し続けよう!と言っているようなものです。

しかし借金していくらでも消費しようというこのロジックは、米国の財務省は知っていても普通の米国人は知りません。まともな米国人は日本人と同じ様にたくさん働いて会計上儲かっていれば消費しなくても幸福を感じる人はたくさんいるはずです。むしろ米国も格差の拡大によって借金まみれになり、消費するのも限界な人が増えており、働いてたくさん稼ぎたい人が増えている。

しかし日本がモノを買わないから働けず、不安な気持ちで借金して消費するばかりです。

実際トランプ大統領は米国でモノを作れ、米国のモノを買えと言っています。

 

今の日本は通帳に記載されている莫大な貯金と高い収入を見て喜ぶ一方、それを使わずにカップラーメンをすする生活をして苦しいと言っているようなものです。しかもこの対外純資産は使わないうちにインフレでどんどん消えていきます。これからは輸入を増やし、会計上ではなく物質的な豊かさを享受することが必要です。

アメリカが日本が欲しいと思うモノを作れないと言ってしまえば仕方ありませんが、それでも円高デフレ不況が嫌ならアメリカのものを消費しないといけないのです。

 

ここまで読んで頂ければわかると思いますが、日本は経常黒字で対外純資産も多いのでいつでも豊かになれるのですが、黒字国特権の為替介入をせず、円高と通貨不足に悩まされているため、処方箋は下記のようになります。

財務省が為替介入して円安にし、ドルを持っている人に直接円を供給する

②政府が国債を発行して銀行に買わせ、さらにそれを中央銀行に買わせ、国民に現金をばらまき、円を供給する(円安にもなる)

内需を拡大して経常収支不均衡を減らす

④公共貨幣を発行して国民にばらまく

になります。

 

①は国際的に怒られるので難しいでしょう。②はヘリコプターマネーで、出来る可能性があります。インフレ課税と騒ぐ人たちがいますが、全くその通りです。しかしお金を配っているのにインフレの方を心配するなんてよほど現金か債券を貯め込んでいる人たちなのでインフレ課税して再分配してもOKなのです。

①も②も政府にお任せなので、個人として出来ることは③でしょう。

内需を拡大してモノ、サービスを輸入し、経常収支黒字を減らし、実質的な豊かさを得ることです。反対側の赤字国も赤字が減って会計上幸せになります。

でなければ、経常収支不均衡が是正されるまで円高・デフレ・空洞化を許し、不景気が続くことでしょう。

④は書くと消されるやつなのであえて説明しません。 

 

個人のライフサイクルがあるので、若者がお金を使わないと責めることは出来ません。一方、ライフサイクル後半にもかかわらず無用に貯蓄している人はお金を消費するか投資して経済を回転させるべきです。

そして国全体として経常収支黒字を減らすのです。

日本は消費する喜びを知り、米国は働く喜びを知る、Win-Winなのです。

この説明に納得感をお持ち頂けたら、是非周りの預金を無駄に貯めてそうな人に教えてあげてください。

経済は回転です。お金の流れを止めてしまっては皆が不幸になり、使えば皆が幸せなのです。