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米国小銀行のクレジットカードローン延滞率、貸倒損失がリーマンショックレベルに急上昇中

FEDによる利上げの影響が様々なところで出てきています。

脆弱な新興国通貨や新興国株式が急落しているというのは皆さんもよくご存じの所でしょう。ユーロもトルコと近いという事で売られています。ソース:ニッセイ基礎研究所 トルコ・ショックとEU

 

一方の米国はS&P500が最高値、失業率3.9%と歴史的低水準となっていますが、利上げに対して何も影響を受けていないのでしょうか?

以前の記事でセクター別騰落率に利上げや量的緩和縮小の影響が出ていることはお話しましたが、実は実態経済にも影響が出てきています。

 

下記チャートはクレジットカードローンの延滞率(Delinquency Rate)とFED政策金利(FFレート)の推移です。

青:資産規模上位100位までの銀行のクレジットカードローン延滞率
赤:資産規模上位100位未満の銀行のクレジットカードローン延滞率
黄:FFレート

FEDが利上げを始めると同時に資産規模100位以下の小銀行のクレジットカードローン延滞率が急上昇しています。この上昇の仕方はリーマンショックを超えています。0から2%の利上げでこれですから、よほど無理な借り入れをしていたのでしょうね。

 

また、こちらは貸倒損失(Charge Off)のチャートです。

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つまり、米国においてもFEDの利上げによって実体経済に綻びが既に出てきているんですね。
現在の経済やマーケットが天井だと考えている方々はこういった所に注目しているのではないかと思います。

 

一方過去と異なるのは資産規模100位以上の大銀行のクレジットカードローン延滞率はしっかり低位を保っていることです。過去では大銀行と小銀行の延滞率はほぼ連動していますが、今回は明確に乖離していますね。

WSJの記事Credit-Card Losses Surge at Small Banksによると、小銀行は大銀行に断られた信用力の低い人達にたくさん貸し込んでおり、その人たちが延滞しているようです。その結果、小銀行はクレジットカードのマーケティングや新規発行を止めています。

とはいえ、資産規模100位以下の小銀行の総資産額は100億ドル程度と全体から見れば小さく、クレジットカードローン市場全体に占める割合もわずか2%程度だそうです。

 

下記はS&P500(赤線)とS&P500の消費者金融セクター(GICSサブセクター、バーチャート)のチャートですが、市場は全く心配している様子はありません。むしろ金利上昇を好感しているように見えますね。

 

実際、米国の家計は政府や民間企業がリーマンショック以降も債務を増やしたのに対して着実にデレバレッジを進めており、全体ではかなり健全になっています。

橙:家計純資産(可処分所得比率)
青:家計負債(可処分所得比率)

 

つまり、全体から見れば小さな話という扱いを受けている訳ですね。
日本で言うとかぼちゃの馬車とかスルガ銀行みたいな感じでしょうか?

私も天井にはまだ早いんじゃないかと思っています。

 

金融環境がゆるゆるになると様々なところに爆弾が置かれ、利上げによって爆弾のスイッチが入る水準まで金利が上げた時、爆発します。脆弱な新興国ですとか、小銀行のサブプライムクレジットカードローンはたった1、2%という低いところにスイッチがあったんですね。

 

まだ強気の市場ですが、盤石なわけではなく、綻びが出てきているということは認識しておくべきですね。綻びがさらに広がってきたら要注意です。