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PERは割高割安という意味ではない

今日はPER(Price to Earnings Ratio)について書きます。
 
皆さんPERはご存知かと思いますが、この指標だけで割高割安と判断するのは惜しいですが間違っています。
もしそのように使っているならFANNGに代表されるフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、エヌビディアなどは割高と判断してそもそも調べることもせず、大きな機会損失をすることになってしまいます。
 
これらの株はどれもSP500を大幅に上回るリターンをあげています、つまり、結果からみれば割安だったということです。
プロでも間違った認識をしている人が多いので仕方ありませんが、ここではPERの正しい意味、投資での活用方法を書いていきたいと思います。

PERの意味
PER=P/EPS
P(Price):株価
EPS(Earnings Per Share):1株当たり利益
 
PERの定義は上記の通り株価がEPSの何倍かというものですが、ここでEPSは翌12か月の予想だったり、実績12か月だったりするので、横比較する際は自分が見ているPERがどのEPSを使っているか注意しましょう。投資判断は将来の利益に対して行うものであり、実績12か月EPS(TTM:Trailing Twelve Months)を使ったPERはほとんど意味を持ちません。私は基本的に翌12か月予想EPS(Forward)を使いますが、Yahoo Financeでは、どちらも見ることが出来ます。

もう一つ重要なことは、PERに使われるEPSは、TTMでもForwardでも結局足元の1年分しか見ていないということです。一方で株価は将来に生み出される利益全体を見て値がついています。ですから2年以上先に利益が大きく成長するような会社では、株価に占める足元1年のEPSの割合が小さく、PERが高くなるのです。
少しわかりづらいかも知れないので下で具体的にイメージしてみましょう。
A社は4年目に利益が1から20に増える会社、B社は毎年安定して10稼ぐ会社です。どちらも同じ期待リターンで利益を割り引き、同じ株価100が現在価値とします。
 
  株価   各年のEPS
A 100    1   1     1  20 20 ・・・ PER=100倍
B 100  10 10    10 10 10 ・・・ PER=10倍
 
株価と言うのは将来の利益を割り引いて出来ているのですが、A社株の今年のEPSは1なので株価100の1%に過ぎず、2年目以降のEPSで株価の99%を占めているということになります。一方B社株は今年のEPSが10で、株価の10%を占めており、2年目以降のEPSで株価の90%を構成しています。
 
このように高いPERは高いEPS成長率を表しており、足元のEPSが株価に占める割合が小さいことを表しています。
逆に言うと、EPSが低成長な株ほどPERは低くなり、足元のEPSが株価に占める割合は高くなります。
 
そして、ここを勘違いしないで欲しいのですが、PERはEPSが高成長か低成長かを表している、正確にはマーケットがそのようになると予想していることを意味していますが、株価が割高か割安かということは意味しません。
 
割高か割安かを判断するには、もう1ステップ、マーケットが織り込むEPS成長率予想に対して、その会社が予想を超えるEPS成長を達成できるかどうか、が重要です。予想を超えることが出来るなら割安、予想を下回るのであれば割高、と言うことになります。
 
記事の初めで述べたFANNG銘柄は高いPERによって高いEPS成長率が織り込まれていますが、予想を上回るEPS成長をしたという点で割安だったのであり、株価がマーケットをアウトパフォーム出来たのです。
ここを勘違いしていると、割安と思って低PER株を買っていたら、ただ低成長な銘柄を集めていただけということになりかねません。さらに会社が低い予想も超えることが出来なければ株価は下落、低成長で割高な銘柄を買っていた、と言うことになります。
 
PERの正しい見方、分かって頂けましたでしょうか?
 
まとめると、PERというのは割高か割安かではなく、マーケットがどの程度のEPS成長率を織り込んでいるか、を見るための指標である。割高割安の判断にはもう1ステップ、織り込まれているEPS成長率を会社が上回れるかどうかを自分で判断する、ということですね。残念ながら割安割高を教えてくれる指標はありません。
長くなりましたので、PERからどのようにマーケットが織り込むEPS成長率を知るか、どのように会社が予想を上回れるかどうか判断するか、は次の記事で書きたいと思います。
 
※続きの記事更新しました。