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米中覇権戦争で情報技術セクターの苦戦は長期化

米中貿易摩擦は貿易戦争ではなく覇権を賭けた100年戦争だと述べてきましたが、覇権戦争の中の1つに次世代のIT覇権を巡る戦いがあります。

 

10月以降S&P500は約10%下落、セクター別騰落率はエネルギーセクター(SPN)に次いで情報技術セクター(S5INFT)が約15%下落と大きく下落しています。
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エネルギーセクターについては、パイプラインでこれまでよりも多くの原油を流せる技術が開発されたことで、パーミアンなどで原油を掘りすぎてトラックで運ぶというアホな輸送問題が解決したために原油価格が下がったのが原因ですが、それは置いておきます。

 

情報技術セクターの内訳をさらに見ていけば、ソフトウェア(4510)が10%程度の下落で済んでいる一方で、ハードウェア(4520)と半導体(4530)は20%も下落していることが分かります。

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この原因と考えられるのが10月4日にブルームバーグが報じた中国のスパイチップ「Big Hack」です。

Big Hackが見つかった経緯ですが、アマゾンがエレメンタル・テクノロジーズという会社を買収しようとデューデリジェンス(詳細な調査のこと)をしたところ、このエレメンタル・テクノロジーズの下請けであるスーパーマイクロという会社が組み立てたサーバー向けマザーボードから鉛筆の芯、指に載せればわずか指紋4本分の謎の極小チップ、Big Hackが見つかったという訳です。

そしてこのBig Hackの埋め込みはスーパーマイクロの下請けの中国企業が行っていたことが分かり、つまり、下請けのさらに下請けの中国企業がチップを埋め込んだということ、しかもこのスーパーマイクロは数百社を顧客に持つ大手企業で、ブルームバーグによると攻撃対象となったのはアップルやアマゾンを含む30社、また米国海軍など政府機関でも使われており、最高機密情報が流出したのではないかと衝撃が走ったのです。一部の識者の話では米国海軍は怒り心頭なんだとか。

アマゾンやスーパーマイクロはこのチップの存在を否定しているそうで、余りに小さいので一部の識者もハッキング能力に疑問を持つなど真相は不明ですが、はっきりと認識しておくべきは、今後ハードウェア、半導体を作る時は中国のハッキング対策を考えざるをえないということです。

IT機器の製造に関しては中国企業が絡んでいないことなどまずありえないほど依存度が高く、今後、企業はサプライチェーンの抜本的な見直しを迫られるでしょう。

下請けの下請けがチップを埋め込まないようにするなんて無理なので、中国企業をそもそも使えなくなってしまいます。

「中国ZTEが制裁猶予措置に違反で再び急落:米国から制裁を受けた株の末路」でファーウェイとZTEがすでに米国から締め出しを食らっていることは書きましたが、昨日日経新聞が報じたところによると(ファーウェイ製品、使っているだけでも取引停止 (写真=AP) :日本経済新聞)、米国は第2段階として2020年8月13日以降、この締め出し対象を中国企業すべてに拡大して世界に広げるようです。

 

まとめると、米中は覇権戦争のうちの1つとしてIT覇権も争っている、技術を盗まれずに勝利するためには中国以外で製造するしかない、既に中国にどっぷり依存しているため企業はサプライチェーンの抜本的見直しを迫られる、コスト負担によって情報技術セクターは苦戦が長期化するということです。

当然中国も市場を開放しないなどの対抗措置を取ってくるのではないでしょうか。

つまりこの移行期間の間は情報技術セクターの苦戦が続くのではないかと考えています。

・米中貿易戦争は100年戦争、次の覇権国家はインドか
・中国ZTEが制裁猶予措置に違反で再び急落:米国から制裁を受けた株の末路
・米国が2000億ドル規模の対中関税発動秒読み前、中国のしっぺ返し戦略