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中国株式市場暴落で追い証リスク発生、ミンスキーモーメントの引き金となるか

中国株式市場の暴落によって株式を担保に入れている会社に対して追い証(マージンコール)リスクが懸念されています。

「追い証」リスク抱える中国大手企業-株価急落で懸念広がる - Bloomberg

 

下記は上海総合指数のチャートです。

上海総合指数は先週”節目”となる2500を割りました。上記チャートをご覧の通り上海総合指数はリーマンショック以降、2015年までおおよそ2500を挟んで推移し、足元はそれ以上の価格で推移していました。

多くの企業がこの水準で自社株を担保に借り入れを行っていたため、最近の株価暴落で担保価値の毀損とそれに伴う追い証(マージンコール)の発生が懸念されています。

株担保の規模はなんと6000億ドル!

さらに記事によると少なくとも144社が自社株の半分以上を担保に入れているらしいです。

銀行は債権額に対して担保価値が低下してくると、担保価値が担保割れする前に売却させて、これ以上担保価値が下がらないようにするか、追加で別の担保を差し出すように要求します。

しかし、借り入れを行っている企業が株価の下落によって担保株の売却を迫られれば、下落が下落を呼ぶスパイラルとなり、正常な価格形成がなされずに市場とファンダメンタルズが乖離するミンスキーモーメントが発生する可能性が高まります。

ミンスキーモーメントとは、米国の経済学者のハイマン・ミンスキーにちなんだ造語で、債務返済のために保有する資産が売却されることで、市場価格の下落と、さらなる資産の売却という負のスパイラルが呼び起こされ、市場価格が実態と離れて暴落する現象です。

ミンスキーモーメントは経済システムが多大な債務を抱えているほど起きやすくなりますが、中国の債務規模はGDP比350%とも言われ、土壌が整っている状況です。(中国の内外債務総規模、対GDP比で約343%=中国メディア

 

ちなみに2015年から2016年にかけての株価暴落でもミンスキーモーメントが起こるのではないかと全く同じ議論があり、実際起こっていたのかも知れませんが、世界の株式市場も中国株の下落に連動して大きく下落しました。

しかしながら、中国当局がなんだかんだと介入したことで株価は暴落したものの、実体経済は成長を続け、世界に与える影響は小さく済みました。

S&P500(赤)、欧州株Stoxx600(オレンジ)、上海総合指数(バーチャート)f:id:shurrin:20181021030120p:plain

中国は2015年からの株価暴落を大株主の株の売却禁止や国有企業による株式の買い支え、そもそも株の取り引きを停止することなどで食い止めました。

普通なら債務縮小スパイラルによって景気後退が起きておかしくないのですが、管理資本主義によって中国はそれを乗り越えたのです。

 

そして今回も例にもれなく中国当局が火消しに走っています。

中国金融監督当局、口先介入で異例のそろい踏み-市場の信頼回復狙う - Bloomberg

複数の記事によると、銀行の与信枠拡大のための支援やPEファンドによる企業買収の促進、企業の資金調達を支援する投資信託の開発支援をなどを進めているようです。また、銀行に対しては、株担保融資の強制返済を見送るように要請しているらしいです。

 

グローバルに繋がりが深まる世界においては米国株だけが一人勝ちすることは難しいと考えられますが、米国以外はあちこちで懸念ばかりです。

米国株に投資するにしても、米国以外の動向に要注意でしょう。