世界一の戦略家と称されるエドワード・ルトワック氏が毎日新聞の取材に応じました。
米国防総省アドバイザー:「体制変革まで米中対立続く」 – 毎日新聞
記事によると、貿易や知的財産権などを巡る米中対立について『長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう』と語ったそうです。
以前記事にした『中国、ポンペオ米国務長官を3時間で追い返してしまう』でペンス副大統領によるハドソン研究所での講演を紹介しましたが、この講演は”中国共産党”に対する実質的な冷戦の宣言だと見られています。
この講演は、過去の歴史分析、諜報機関から得たエビデンスなどに基づいた洗練された内容となっており、政治、経済、軍事面で中国共産党が行っていることを批判し、それに対して米国は戦っていくよ、という内容です。
ルトワック氏もペンス副大統領も多くのコメントで”中国”ではなく、”中国共産党”としているところがミソですね。
また、ルトワック氏の取材によるとお互いに核兵器を持っているため、軍事衝突には発展しないとのことです。
歴史に学んで冷静な判断が出来ればトゥキディデスの罠(新興国が覇権国家に挑む時に軍事的衝突に発展しやすいこと)に陥ることはないという事でしょうか。
しかしその結果、米中対立は返って長期化し、中国の体制変革まで続くとの予測です。
このようなトランプ政権による理路整然とした中国共産党批判、一体一路プロジェクトの高金利貸付によってデフォルトに陥り、担保として主要な港湾などを租借された多くの国々の反中運動などにより、世界中で反中の波が起きています。
救いがあるとすれば、日米とも中国とビジネスを続ける意欲を持っているため、米ソ冷戦とは異なると述べているところでしょう。
ルトワック氏の予測についてですが、予測と言うか、ルトワック氏自身が米国防総省のアドバイザーなわけですから、米国が直接的に中国共産党の一党独裁体制が変わるまで冷戦を続けるよ、と宣言しているようなものですね。
少なくともそれくらいの覚悟でこの戦いを始めているという認識をしておいた方が良いでしょう。
そしてこの戦いは100年戦争と目されています。
過去に覇権国家に挑んで覇権を勝ち取った例はなく、第3の新興国が漁夫の利を得て覇権国家として台頭するのですが、GDPの予測を見る限り今後50年はそのような国は現れません。
規模で言えばインドかなと思うのですが、インドが米中を圧倒する国になるにはまだまだ時間がかかりそうです。