WSJに新型コロナウイルスの影響でインフレ加速の可能性という記事が上がっていました。
振り返れば景気後退というのはインフレ退治のためにFRBが金融引き締めに転換することが引き金となっており、現在のような経済成長しつつも低インフレが持続している環境は金融市場にとってはゴルディロックス (景気が過熱も冷え込みもしない適度な状況にある相場のこと)と呼ばれる非常に心地いい環境であります。
記事によれば、中国政府がウイルス対策に本腰を入れれば一段と大規模な停滞が生じ、中国から世界に供給されるモノの流れが縮小するだろうとのことです。
さらに中国が生産するモノの多くは消費者向け製品であるため、供給量の減少に伴い価格が上昇する可能性があるそうです。
しかしながらインフレが起きるためには生産活動が停滞する一方で消費活動はしっかりしていなくてはなりませんが、少なくともアジアでは消費活動の方が落ち込んでいるように見えます。
生産活動が停滞する程の事態になっておきながら堅調な消費活動をするというのは難しいのではないかと思います。
しかし、そもそもこのコロナウイルスはインフルエンザ同様に気温・湿度が上がってくる4月頃にはピークを打つという予想であったはずです。
もしそうであれば、いったん停滞した消費活動は、それまで停滞していた分のペントアップ需要まで乗せて急に回復する可能性があります。
その一方で生産能力が以前と同じ、もしくはコロナウイルスの影響で生産能力が落ちていた場合、それがインフレにつながる可能性はあります。
また中国は既に財政政策・金融政策の面で支援していますが、このような季節性のものに対して持続的な支援を行えば意図した効果よりも景気が過熱される恐れがあります。
いずれにせよゴルディロックスで安定していたところに波が生まれれば、引き締めをしなければいけない局面が出てきてしまうということです。
そして過去の例に従えばそれがリセッションに繋がるのです。